行動食・非常食

行動食というのは、要するにおやつです。じゃあおやつって書けよってツッコミが入りそうですが、高校山岳部でおぼえた言葉が抜けないもんで・・。(当時は「おやつ」じゃあまりにあからさますぎて、他の運動部から非難されるおそれがあったのだと思います)

行動食は歩きながら食べられるもの、たとえば飴やチョコレートが望ましいとされ、変わったところではカリカリ小梅や酢コンブを持ち込む和食党(?)もいました。実際のところ栄養補給の意味はほとんどなく、しいて言えば野球選手が噛むガムのように、集中力アップや、疲労から気をそらす効果を期待したものと思います。

必ずしも必要なものではないので、現在のしじみはあまり歩行中にものを食べません。しゃべりにくいし、のども渇くから。今は行動食といえば、もっぱら昼食後や休憩時に食べるデザート的なものを選んでいます。

おすすめは、夏は何といっても一口ゼリーです。バテバテで咀嚼さえおっくうになっても、ゼリーならツルッと飲みこめて、消化吸収もよいです(なんか病人食の宣伝みたい)。ヴィダーインやカロリーメイトのゼリータイプも、昼食場所になかなかたどり着かない時などの、つなぎの栄養補給に重宝します。

冬のおすすめは伝説の米菓・ハッピーターンです。これはしじみと友人Mが「80年代懐かしのお菓子」について熱い議論を戦わせていた折(そんなんだからモテない・・)、「おさつ『どきっ』」「ムギムギ」「サッポロポテト」などの懐かしい名前に続いて出てきたもので、

「そういえばハッピーターンという甘辛い粉末をまぶしたミニせんべいがあった。この粉末が他社の追随を許さない絶妙のうまさで、姉と奪い合いをしながら食べたものだ。10個に1個ぐらいの割合でこの粉末が通常の2倍ぐらいまぶされているメタルスライムのようなせんべいが混じっており、食べ続けてこれに当たった時がすなわち『ハッピーターン(幸せの番)』なのであろう」(※)

などとオタなトークの末に、二人ともものすごくハッピーターンが食べたくなって、早速Mが次回の登山に持ってきたのでした。
(※ちなみに「ハッピーターン」の名前の解釈はしじみの勝手な思い込みで、由来は別にありました

15年以上の時をこえて再会したハッピーターンは、現代風の小袋タイプに変わって(大袋もまだあるようですが)個包装もなくなっていましたが、そのおいしさやメタルスライム発生率は昔と変わらずバッチリでした。ビバ亀田製菓。

予想した通り、登山で塩分が欠乏した体にはハッピーターンの甘辛さが絶妙にマッチし、以降しじみとMの定番になりました。お茶うけとしてたいていの飲み物に合いますが、特にコアントローお湯割との相性がよいです。

続いて非常食について。これは遭難した時のための食料で、高校山岳部では「通常の食料とは別に、煮炊きせずそのまま食べられる食料を3000kcal以上常備すること」と決められており、カロリーメイトをタッパーに詰めこんで持っていったものでした。できるだけバリエーションをつけるように、との指示でしたが、バリエーションといってもカロリーメイトとスニッカーズと練乳などという最低な組み合わせしかないので、聴く耳持たずだいたい全部カロリーメイトでした。

非常食は救急箱と同じで、無事山から降りてこられれば使わなくてすむものですから、ある程度保存のきくものを選びます。とはいえカロリーメイトにしてもせいぜい1年ぐらいですから、賞味期限が切れそうなものは取り出して、高校時代などはお腹のすく3時限目あたりに教科書に隠れて食べていました。食べても食べても足りないあの頃は若かった・・(遠い目)。

日帰り登山が主となった今では、1200kcal(=カロリーメイト3箱)程度ですませています。最悪でも一晩ビバークすれば人里にたどり着けるような低山であれば、それで十分かと思います。タッパーに入れるほどの量でもなく、そのまま荷物に放りこむので、もうすっかり粉々の顆粒タイプになっています。そろそろ更新時期で食べないといけないので、軽くブルーです。


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