沢 山



沢ノ池のほとりにて

大学時代を京都で過ごしたしじみは、この山に何度も登りました。低い山ですが、中腹に沢ノ池というちょっとした湖ぐらいの大きな池があり、ここがなかなか景色のよいところなのです。近くに高雄や嵐山といった観光名所もあり、様々なプランで1日中遊べるぜいたくなエリアといえます。

最初に登った時は友人Mと一緒でした。沢ノ池には正直あまり期待していなかったのですが、行ってびっくり。山中に広がる静かな水面。そこは小さいながら別天地でした。素直に感心していたMにひきかえ、これは絶対デートに使えると心にメモした下心星人のしじみ。しかし結局在学中にデートそのものをすることがありませんでした。合掌・・。

沢ノ池からの帰り道。しじみとMは不思議な人物に出くわしました。

<超人ファイル1>
それは70歳ぐらいのおばあちゃんでした。白い日傘をさして、やはり白いロングスカートをはいて、足元も白のハイヒール。英国風の貴婦人というかんじで、悠然としじみたちとすれ違い、去っていきました。

社会的にはおかしくない、むしろ格式高い服装です。しかし。なんか違和感。しじみとMは顔を見合わせました。スカート?ハイヒール?なぜこの山中にそんな格好で存在できる!?低山とはいえふもとから1時間半は歩く場所だぞ?

彼女はその後の我々の話題を独占しました。
「きっと途中で着替えたんだよ」
「着替えらしいものは持ってなかったぞ」
「じゃあヘリで降りてきたとか」
「プリンセス天功かよ」

結局、「あれは高名なアルピニストで、『こんな低山なんかハイヒールで登ってやるわ!』というデモンストレーションだったのだ」ということになりました。んなアホな。

それからずっと後年、こういう不思議なハイカーに時々出会うようになったしじみたちは、彼らのことを「超人」と呼ぶようになりました。このおばあちゃんは我々の前に姿を現した最初の超人だったのです。格好からして、かなり高位の超人に違いありません。サリーちゃんのママぐらいには。
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さて。大学時代、某学術系(?)サークルに所属していたしじみは、ある年の新人歓迎会を担当することになり、かわいい女の子がいっぱい入ったのではりきってこの沢山ハイキングを企画しました。

新人歓迎会といっても時期はずいぶん遅く、6月頃だったと思います。ちょうど沢山のふもとの西明寺周辺でホタルが見られるという情報もあり、それも盛り込んだぜいたくなイベントになったのでした。

しじみは頑張りました。ドタキャンがあっても笑顔で対応。登山中は慣れないギャグで新人たちを無理やり笑わせ、沢ノ池についてからは新人が池にぶん投げたフリスビーを必死で回収。キモオタが久しぶりにガッツを見せました。

努力の甲斐あって、新人たちはそれなりに楽しんでくれました。西明寺のホタルもバッチリ見られました。とてもきれいで幻想的でした。ホタルも、戯れる女の子たちも。

え?成果?後に1組のカップルがその中から成立しました。新人の子としじみ・・の同期の男と。

どうせ黒子はいつまでも黒子さ。いつか黒幕ぐらいにはなってやる・・(涙)。

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