【雨乞岳】 滋賀県甲賀市土山(三重県境)


本図は(財)日本地図センター発行の25000段彩・陰影画像を元に作成した。(同センター承認済)
■この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第82号)
※25000段彩・陰影画像は数値地図25000を元に作成されており、本図はその二次利用のため両文併記。

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雨乞岳/2006年4月22日  

雨乞岳とその一帯には、いろいろと因縁があります。主峰そのものは、クラ谷往復のコースで友人Mとともに1回で踏破したのですが、その後に「コクイ谷コース」なるものがあることを知り、渓谷美にあふれるらしいこのコースを目指すようになってから、長い長い戦いが始まりました。

まず試みたのが、武平峠から御在所山に登り、根の平峠からコクイ谷に下りてくるこのコース。距離と高低差はあるものの、コクイ谷までは道も悪くなく順調に詰められ、コクイ谷も谷道のわりにはそう難しくなく、じりじりと攻略して、そろそろクラ谷出合も近いか・・と思われる所まで来ました。(谷道でGPS電波が全くとれず、正確な現在地は分からなかったのですが・・)

しかしそこで、道が途切れてしまい、現在地の分からないしじみとMは立ち往生。こうなったらとにかく南に進んでクラ谷を見つけよう・・と道なき斜面を這い登ったのですが、そこからまたヤブや断崖にさえぎられて、まともに南には進めず右往左往。「どうなってんだよ!」「オレが知るかよ!」と小学生のような口ゲンカをしながら山中をさまよい、半泣きになりかけた頃にようやくクラ谷の登山道に出ました。そこから大急ぎで武平峠を目指し、なんとか日没ギリギリに下山できました。

その後なんとなく仲直りしたしじみとMは、コクイ谷で何をどう間違ったのかを解明するべく、いつか谷を北上するコースを歩いてみよう・・と誓ったのでしたが、やがて鈴鹿スペシャルなどにのめり込んでしまったために、雨乞岳は放置されたまま、月日は流れました。

そして、ひょんなことから今度はKさんが「雨乞岳に登りたい」と言い出し、だったらちょうど「コクイ谷の謎」の件もあるので、コクイ谷ループコースを行ってみましょう・・としじみが提案。こうしてMではなくKさんとともに、コクイ谷雪辱戦が始まりました。

2005年11月、しじみとKさんは武平峠に降り立ち、上掲のコースを目指そうとしたのですが、スタート後いくらもいかないうちに雨が降ってきたため、大事をとってクラ谷〜雨乞岳の往復に変更。ところが雨は夜更け過ぎに雪へと変わり(この冬の初雪でした)、東雨乞岳稜線の笹トンネルから顔を出したとたんに猛吹雪にさらされたために、頂上も踏まずにほうほうのていで撤退することになりました。しじみはコクイ谷に加え、雨乞岳にも黒星を連ねてしまったのです。

そして冬が過ぎ、春が来て鈴鹿スカイラインの通行止めが解除され、3度目の正直で挑んだ雨乞岳・コクイ谷コース。コクイ谷分かれまでは順調に来たしじみとKさんでしたが、そこから始まる本格的な谷道で「いのちだいじに」モードに切り替わったため、大幅にペースダウン。滝壺を眼下に見下ろしながら濡れた岩の上を歩く、非常にCOOLな道を行きます。

その後コクイ谷に出合い、かつての道迷い箇所を確認し、しじみは「ここからはそう難しくないですから」とベテランっぽくKさんを励ましたのですが・・見事に裏目でした。

2年前に歩いた時と比べ、道はかなり崩壊し、ひどく歩きにくくなっていました。秋と春の水量差もあるのかもしれませんが、川を渡る場所を探すのが一苦労です。しじみへの信頼を回復するのも一苦労です。

少し広くなったところで、渓流を眺めて昼食をとることにしました。おにぎりをかじっていると、単独行のおじさんが後ろから現れました。聞けば我々より1時間も遅く出発したとのこと。そのスピードの秘密は何か?と問うと、「開き直って川の中を歩けばいいんさ」と涼しい顔。ここはいつしか沢登りコースになってしまったようです。谷道の崩壊は早いものだ、と実感しました。

高速で下流に消え去ったおじさんを追って、我々も岩に張りつき、道を大きく巻いてノロノロジリジリ進みます。ようやくコクイ谷終点に着いた時には、予定時間を30分ほどオーバーしていました。予想外に疲労も濃いので、ここで国見峠→御在所山にエスケープしよう・・などという妥当な判断は誰も下さず、雪辱に狂う我々は雨乞岳に進路をとりました。今思えば完全に遭難予備軍です( ・_・;)

とはいえ、ここからの道はコクイ谷よりは比較的歩きやすくなりました。佐目峠への分岐を越えて、かつての村落跡(もしくは鉱山の作業所か何かか?)を歩きます。ここは広く、すぐそばに川も流れ、整地もされているので大人数のキャンプに適しています。でも夏はヒルの猛攻で阿鼻叫喚になるかも・・(それ以前に、大人数でここまでやってくるのがたいへんですね)

村落跡で、Kさんが変わった木を見つけて、「ソフトクリームの木」と名付けました。



しじみは違うものに見えたのですが、それが何かはあえて言いません。

急登を詰めるとようやく杉峠。その名の通り一本杉がそびえています。ここは峠ながらひらけていて、眺めが良いです。この後に続く雨乞岳・東雨乞岳も好展望で、それがこのコースの醍醐味なのですが、当然のごとく1枚も写真撮ってません。ここらで適当にご覧ください・・。(超開き直り)

杉峠では、コクイ谷で我々を抜かしていったおじさんが、タバコをふかしながら休憩していました。我々よりずいぶん早くこの峠に着いたはずなのに、えらく長い休憩です。ひょっとしたら我々のことが心配で待っていてくれたのかもしれません。東に見える御在所山のことなどについて、おじさんとひとしきり語った我々は、おじさんより先に出発しましたが、やがてまたすぐ抜かれました。このスピードをみる限り、やっぱり待っていてくれたのかもしれない・・。

雨乞岳への登りは、中盤からすさまじい笹ヤブになります。一寸先はヤブというかんじです。頭突きをするような態勢で笹をかきわけ進みます。前を見ていないので、時々本当に木の幹に頭突きをしてしまうこともあります。いろんな意味でイタいです。

いいかげん嫌になった頃に、雨乞岳頂上にスポンと出ました。そしてやっぱりおじさんが待っていました。おじさんは我々と二言三言会話すると、東雨乞岳に発ちました。しばらくしてあとを追った我々が、尾根上で東雨乞岳の頂上に目をこらすと、案の定おじさんはスタンバイしていました。我々テッパンで心配されてます。そして我々が東雨乞岳に着くと、おじさんはやはり二言三言会話して、先に下山していかれました。さすがにこの後は比較的一般ルートになるためか、もうおじさんが待っていることはありませんでした。ありがとうおじさん・・。

しかしその後の道も、一般ルートとはいえ笹ヤブあり崩落ありの歩きにくい道。慎重に慎重に進み、結局予定を1時間以上オーバーして6時頃にようやく登山口に帰り着きました。日没まであと30分。危なかった〜( ・_・;)8時間以上登山で疲労も極限、格好もすっかり泥人形だったし・・。

というわけで、今回の登山録はけっしてこのコースを勧めるものではありません!!「やめといたほうがいいよ」というものであります。このコースは謎のおじさんのような、超人予備軍のためのコースであると思います。
ガイドブックでこのコースを「一般向け」としている某S社は、全社をあげて真夏の大雨時に杉峠村落跡でヒルまみれキャンプの刑じゃ〜!!( ^-^;)


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