【カクレグラ(水谷岳) 滋賀県東近江市


本図は(財)日本地図センター発行の25000段彩・陰影画像を元に作成した。(同センター承認済)
■この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第82号)
※25000段彩・陰影画像は数値地図25000を元に作成されており、本図はその二次利用のため両文併記。

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カクレグラ/2005年3月20日 

鈴鹿山系の中央部、滋賀寄りの支尾根上に、「カクレグラ」というかわった名前の山がある・・と知ったのは2004年冬、泣く子も黙る鈴鹿最強データベース・「鈴鹿の山風」さんの山リストを見ていた時のことでした。

現在では「水谷岳」と呼ぶのが通例らしいですが、土地に伝わる山の古名が「カクレグラ」。他の山からは見えにくい場所に位置するピークなので「隠れグラ」なんだそうですが・・はたしてそれだけか?何やら民俗学チックな謎の香りがする山名です。

「グラ」はしじみが思うに、奈良の大台ヶ原の「大蛇グラ」と同じで、「 」の字を当てるのでしょう(「 」は常用外の漢字で、活字では出てきません)。山風さんによると、この「グラ」にはピークという意味の他に、「岩の砦」という意味があるそうです。

「ならば、『カクレグラ』は古代山岳民の隠し砦だと解釈しても、あながち間違いではあるまいッ!ここにはきっと何かがある!!」
冬の間、雪で登山ができなくて少々おかしくなっていたしじみは、宗像教授ばりの伝奇ミステリーを勝手にブチあげて、一人興奮していました。そしてジリジリしながら春の雪解けを待ち、3月下旬、友人Mとともにさっそくこの山にアタックしたのでした。

そんなわけで、このカクレグラ登山の日、しじみはいつにもましてワクワクしていたのですが、どういうわけかこの日は友人Mも、何だか別の理由でワクワクしている様子でした。

何がそんなに楽しいの?と問いただしても、Mは一向に答えようとしません。あーっ、さては春だけに、この男にも春が来たのか!?女っ気のまったくなかったこの硬派男も、ついに雪解けか?ペレストロイカ?(しじみさんかなり動揺してます)・・これはぜひとも聞き出さなくてはなりません。

しかし、依然としてMは何も語らず、謎を抱えたまま永源寺ダムに到着。墓地の脇に車を停め、佐目集落から南下して登山開始です。道は整備されて歩きやすく、谷道をズンズン登りつめてあっというまに尾根上へ(P746)。ここからいったん西に折れて、小ピーク・入道ヶ原に寄り道します。快適な尾根道が続き、ほどなく入道ヶ原山頂に到着。雑木林に囲まれた眺望のないピークで、おにぎりと即席みそ汁の昼食をとりました。

しじみとMの場合、昼食後はたいていそのままティータイムに移行し、お湯を沸かしてコーヒーなりコアントローお湯割りなりを作るのが普通なのですが、この日はなぜか「お茶するのはカクレグラに着いてからにしようぜー」とMが強硬に主張しました。

さてはこの男、もったいをつけてカクレグラ山頂まで発表をひっぱるつもりか?お前はセコい視聴率稼ぎ番組かー!しじみは内心ムカつきながらもそれに同意し、我々はそそくさと入道ヶ原を出発しました。

3月下旬ですから、鈴鹿の尾根上にはまだまだガンコな雪が残っています。残雪をサクサク踏みながらの尾根歩きもオツなものですが、しじみは山岳民の砦とMの秘密が気になって、雪の感触もうわのそらです。

そしてついに、カクレグラ山頂に到着。山頂付近には大岩があり、その上に立つと東の銚子ヶ口その他のピークが連なる様が一望できて、なかなか雄大な眺めです。

しかし、この大岩は自然石で、調べてみてもとりたてて人工物らしい痕跡はありませんでした。がっかりしたしじみは、せめてMに「古代山岳民の隠し砦説」を聞かせて、共感を得ようとしました。そうしたら。

M「隠し砦だったら、『カクレグラ』なんてバレバレの名前つけないでしょ」

うん全面的に君の言う通りだよ僕ったらうっかりしてたよあははははは。
しじみ伝奇ミステリーはMの一言でコナゴナに粉砕されてしまったのでした。

こうなると、残るはMの秘密だけです。しじみはいそいそとお茶の準備を始め、Mが語り出すのを待ちました。すると、Mはニヤニヤしながら、こう言いました。


M 「オレのギャグをうけてみろ」

へ?ギャグ?突然なんだ??




「カクレグラだけに、焼酎『隠し蔵』(濱田酒造)!!」



しじみ

 M
「お、お前、まさかこれをやるために今までずっと・・・」

「ふっふっふ。これはさすがの『やましじみ』も思いつかんかったやろ」


・・・・・・。

友よ。いや、同志よ。彼女ができたなどとくだらぬ疑いをかけた私が悪かった。君はいつの間にか、私よりも遠いところへ行ってしまったようだね。まさかこんなに重傷な高度なネタをかましてくれるとは・・ありがとう・・いろんな意味で涙が出るよ・・その「隠し蔵」を開けてくれ、飲もう、今日はとことん盛り上がろうーーー (T-T)。

・・というわけで、Mの疑惑もめでたく(?)晴れ、カクレグラ山頂で焼酎お湯割りを痛飲した我々は、その後たどるべき尾根道を外れて針葉樹林の斜面をガンガン下ってしまい、思いっきり道に迷ってしまいました。酔いもあっというまにふっとび、なんとか送電線の鉄塔にたどり着いて、永源寺ダムが見えた時の安堵感といったらもう。


教訓:どんなに人生がつらくても、酔っぱらい登山はやめましょう (^-^;)


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