羽鳥峰幕営2/2006.10.14-15


一夜明けて、本日も快晴。朝食はアルファ米とカップ味噌汁で簡単にすませました。最近はアルファ米もおいしい混ぜご飯商品があって、手軽で助かります。朝からエビピラフはちょっと重かったですが( ^-^;)

テントを撤収した後、せっかくなのでニセ羽鳥峰の頂上で記念撮影しました。


Kさんがいかがわしさ120%の写真を撮ってくれました。

そして行軍開始。本物の羽鳥峰はヤブ山なので華麗にスルーし、縦走路を道なりに進んで、再び鈴鹿主稜線に復帰です。そこからはしばらく雑木林の中の緩やかな登りで、やがて前方の視界が開けました。朝日を浴びる猫岳と釈迦ヶ岳が、なんとも壮観です。


手前のピークが猫岳。奥左が釈迦ヶ岳・・と思って撮った写真ですが、
後で調べたら奥左は無名ピークで、釈迦ヶ岳は奥右の切れてるピークの方でした。
まったくこの辺はニセピークが多すぎです。(いや単にしじみの読図力がないだけ)

猫岳はこんもりした山容が好きですが、頂上は狭くて、眺望もあまり良くありません。とっとと越えて、次の釈迦ヶ岳に向かいます。松尾尾根との合流地点(大蔭というらしい)にさしかかった頃、何やら前方が騒がしくなりました。

こんな早い時刻に、我々以外のハイカーがいるなんて・・と思ったら、あーっ!昨日の高校山岳部だ!彼らはやっぱり朝明渓谷に泊まって、今日は松尾尾根もしくは庵座谷から登ってきたようです。「こんにちは!」「こんにちは!」またあいさつの洗礼をたっぷり受けました。若人は朝から元気がいいなあ・・( ^-^;)

彼らと釈迦ヶ岳一番乗り合戦をしようかと思いましたが、Kさんに大人げないと止められ、仕方なく我々は大蔭で小休止。小腹もすいていたので、9時のおやつと称してドライマンゴーをかじりました(ドライフルーツの類は下界では甘ったるくて食えたものではありませんが、山ではなぜか異常においしく感じる不思議な食品です)。

しかし、今後の行程は、狭い縦走路を彼ら山岳部(十数人)と抜きつ抜かれつのかたちになるから、ちょっとうっとうしいな・・と思案していたら、再びガヤガヤと騒がしい声。なんと彼らが戻ってきたのです。我々はわけが分からないまま、とりあえず松尾尾根方面の道ばたに隠れました。(←もうあいさつはお腹いっぱいだったのです ^-^;)

「そうか、彼らは北上せずに、釈迦ヶ岳を踏むだけ踏んで、後は羽鳥峰方面に南下して朝明渓谷に戻るのか・・」納得しているうちに、彼らは我々の来た猫岳・羽鳥峰方面に折れて、あっという間に消えていきました。結局「こんにちは」以外には会話が一切成立しなかった少年少女たちよ、どうかいつまでも、元気で登山を続けてください・・。

そして、我々も釈迦ヶ岳へ。頂上は狭い空き地ですが、三重側にスコーンとひらけていて、眺望抜群です。以前来た時は濃霧の日だったので印象の悪いピークでしたが、今回は一転して好きになりました!なお、家に帰ってから以前の記録にあった「釈迦ヶ岳は眺望がない」という文言を人知れず抹消したのは秘密です( ^-^;)

その後は縦走路をタイムリミットまで北上してみよう、ということで、主稜線を北へ北へ。危険箇所もなく、ところどころ三重側の眺望がひらけていて、気持ちのよい尾根道です。

中峠の手前まで来て、陽当たりのよいなだらかな斜面に出ました。本当はまだまだこの先、三池岳までも行くつもりでしたが、さすがに昨日からの疲れもあるので、ここで切り上げることにしました。すばらしい眺望を満喫しながら、ここで昼食です。

菓子パンにコーヒー、あと昨日の残りのガーリックトーストを焼いて食べました。お腹もふくれ、やわらかな日差しに包まれてマッタリしていたら、Kさんが突然「昼寝する」と宣言しました。

「え!?ここで?山の中とはいえ縦走路ですよ?
  通りがかりのハイカーがびっくりしますよ?」
「・・・いいの」

何がどういいのかさっぱり分かりませんが、Kさんはシートにひっくり返って寝てしまいました。彼女はそういう人です。


とっても遺棄死体チックなKさん。顔にかぶせた布がキュート。

しじみも一緒に寝るよう促されましたが、こんなのが2体も転がっていたらマジで通報されそうなので断って、風景写真を撮ったりして過ごしました。30分ほど爆睡したKさんはすっかり元気を取り戻し、1時間を切る好タイムで釈迦ヶ岳まで舞い戻りました。

しかし、ここで悪魔の誘惑が。当初は往路を普通に戻って、羽鳥峰峠から朝明キャンプ場に下りるつもりでしたが、どちらからともなくこんな提案が出てきました。

「同じ道は面白くないし、それにあの道は長いし・・。最短コースの庵座谷を通って帰りましょう。『山と高原地図』には『危』とか書いてるけど、まあ、大したことないですよ
「そうよね。あの山岳部の子たちも、きっと最短コースから来たんだろうしね。そんなに危ない道じゃないよ」

地図の警告を平然と無視し、山岳部の子たちが庵座谷を通ったという証拠も一つもないのに、全てを断定的に語って庵座谷に向かった我々。今あらためて書いてみると背筋が寒くなります。

そして挑んだ庵座谷は・・浮き石と濡れ石とザレとガレの巣でした。二人ともおびただしい数の落石をし、スリップも数知れず、転倒も数回・・という有様。神経をすり減らし、半泣きになり、実に2時間以上をかけて、ほうほうのていで朝明キャンプ場まで下りてきました。ショートカットの意味がまるでなし・・。すでに日は傾き、キャンプ場も人影まばら。もちろん、賢いコースプランで早めに下山したであろう高校山岳部の一団は、もう影もかたちもありませんでした。キミたちはエラいぞ( ^-^;)

===
というわけで以上、羽鳥峰峠幕営録でした!くどいようですが、読者諸賢様は、恐怖の庵座谷には絶対入られませんよう・・。コグルミ谷の3倍、コクイ谷の2倍、ツルベ谷の1.8倍のスリルが待っています。(鈴鹿オタにしか分からないランク)

思うに、山岳部の子たちは、遠回りでも安全な松尾尾根から登ったのでしょう。彼らとちゃんと情報交換していれば、あるいは庵座谷に入らなかったかも・・今後はもっと行き交う人々とお話するようにしよう・・。

登山技術よりも人としてのスキルを磨く必要があるしじみでした( ^-^;)

週刊やましじみ:登山よもやま話のサイト  TOP近畿の山>水晶岳・羽鳥峰・釈迦ヶ岳