【杉峠・イブネ・クラシ・銚子ヶ口<1>】 滋賀県東近江市


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■本図は(財)日本地図センター発行の25000段彩・陰影画像を元に作成した。(同センター承認済)
■この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第82号)
※25000段彩・陰影画像は数値地図25000を元に作成されており、本図はその二次利用のため両文併記。

杉峠幕営1/2006.10.8-9


「鈴鹿の奥座敷」と呼ばれ、一般ハイカーの踏み込まない山奥にぽっかりと広がる大草原「イブネ」と「クラシ」。銚子ヶ口や東雨乞岳からの遠望でその存在を知ったしじみと友人Mは、「いつかあの場所で幕営するんだ」と心に誓い、それはいつしか「イブネでクラす計画」と名付けられて、2人の間で語りぐさとなっていました。

しかしその後、鈴鹿スペシャルという無謀にうって出たために、「イブネでクラす」は2年の長きに渡って棚上げされてしまいました。
でもそのかわりに鈴鹿の地理にも詳しくなり、「どうせなら杉峠から銚子ヶ口まで縦走しよう」「イブネやクラシで幕営するのは水場がないので難しい、杉峠付近で幕営して、翌日にイブネ・クラシを満喫しよう」などと計画に修正が加えられて、ついにこの10月、「イブネでクラす改め、杉峠鉱山跡でクラす」が決行の運びとなったのでした。

というわけで、やってきました東近江市・永源寺町。まずはゴールである、杠葉尾の鈴鹿国定公園管理小屋に車を配します。ここにMの車を置き、しじみの車でスタートの渋川へ。途中にある食堂でうどんをかき込み、昼食としました。そう、今回1日目は幕営地まで3時間半の行程なので、午後からの登山スタートなのです。

甲津畑の集落を迂回して渋川に出、林道分岐地点で駐車。ここから登山開始です。しばらくは並んで歩ける広い林道で、ガンガン距離を稼げます。

しかし空はあいにくの曇り空。この前日の7日は、気象史に残るであろう台風並みのスーパー低気圧が本州各地で猛威をふるい、海で山で遭難事故が相次いだ日でした。その低気圧がしぶとく鈴鹿山地に爪をひっかけているような感じで、どうもすっきり晴れてくれないのです。

薄暗い林の中、頭上では強風が吹き荒れ、ついにパラパラと顔に水滴が当たり始めました。小心者のしじみは「雨降ってきたよ・・」と早くも尻込み。するとMは「これは木の葉に貯まった水が落ちてきただけだ」と言い出しました。しじみが気弱になると彼はよくこういう妙な理論を展開します( ^-^;)んなわけあるかーい、と問答するうちに通り雨は過ぎ、晴れ間が出てきました。さすがM(?)。

フジキリ谷をさかのぼり、蓮如上人ゆかりの石碑、というのを過ぎてしばらく行くと、見上げるほどに大きな、シワシワの樹皮をもつ木に出会いました。たしか山たまごさんが「で・で・でっか〜い!」と紹介されていた木です。うーむこれはスゴイ!


夜中にタコのようにはい回ってそう(・_・;)

さらに行くと、ごく小さい集落跡がありました。うっそうとした林の中に、建物の土台だけがぽつぽつ残っています。「鉱山跡」と書いた看板が立っていました。正確には鉱夫たちの居住地跡でしょう。

「鉱山って、何を掘ってたのかなあ」
飛行石とかじゃない?」

こんな会話しかできない我々ももう28歳です。

その後、さして危険な所もなく、どんどん谷をつめて、杉峠に出ました。ここはKさんと来た時以来です。


杉峠の大杉。手ブレはデフォルトです(←開き直り)

縦走路は峠から南北に伸びていますが、我々は幕営のために東の谷に下ります。短い区間ですが急に道が荒れるので、慎重に下っていきます。

20分ほど下ると、こちらにも鉱山の居住地跡があります。ここが本日の幕営地。すぐそばに川が流れ、地面も平らな、格好のテント場です。夏場はヒルにまみれそうですが・・。

さっそく荷をおろし、テントを張る場所の地面から小石を丹念にどけて整地します。そしてアルミシートを地面に敷き(アルミ側が接地面)、その上にテントを張ります。さらにテントの床にレスキューシートを敷き込みます(これも銀色側が接床面)。いずれも断熱効果を狙ったものですが、おかげでテント内はポカポカ暖かく快適でした(^-^)
レスキューシートの床敷きは初めてでしたが、心配された結露もほとんどなかったので、今後も定番にしたいと思っています。


床もキンキラキンでゴージャスに

夕食はレトルトカレー+ガーリックレーズンライス。3人分を2人でたいらげました。カレーを温めた後のお湯入り鍋をテント内に置いておくと、湯たんぽのようにテント内をじんわり暖めてくれるので便利、という新発見もありました(ただし、熱湯をこぼすとたいへんなことになるので注意!)。

日が落ちると、Mが持ってきた小型ラジオをつけました。ひらけた谷であるせいか、こんな山奥でもよく電波が入ります。テレビ放送もちゃんと受信できました。「『サザエさん』のワカメちゃんの声は、ラジオで聴くと小学生とは思えない艶っぽさだ」などのどうでもいい発見がいろいろありました。
山ではラジオなどつけずに仲間と語り合うべきかもしれませんが、狭いテント内で野郎2人が顔をつきあわせていても話が弾むわけもなく、なんとなく気まずい空気が流れることもあるので、話のタネにラジオは必需品かも( ^-^;)また今回、スーパー低気圧が過ぎ去る過程で夜中の風の音がすごかったのですが、そういう心細い時にラジオで人の声を聞くと非常に安心できました。ええどうせ小心者ですよ。(←開き直り)

そして夜も更けてから、金糞岳に続く第2回ヘボ将棋王決定戦を行い、今度はしじみが勝って1勝1敗となりました。ポケッタブルのゲームはかさばらなくて、山にも持っていけて便利ですね。買う時はぜひAmazonで!(←いいかげん宣伝しすぎ ^-^;)

やがて低気圧も過ぎ去ったらしく、風の音もやんで静かになったので、寝ることにしました。さあ、明日はいよいよ「イブネでクラす」です・・。


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