【宮越山(水沢岳)】 滋賀県甲賀市土山(三重県境)


本図は(財)日本地図センター発行の25000段彩・陰影画像を元に作成した。(同センター承認済)
■この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第82号)
※25000段彩・陰影画像は数値地図25000を元に作成されており、本図はその二次利用のため両文併記。

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宮越山/2005年5月21日 
 

ポカポカ陽気の5月の一日。しじみと友人Mは今日も鈴鹿に向かって、ジムニー号で国道を東に突っ走ります。この日は抜けるような快晴で、我々のテンションもいつになく高めです。

「いやあ、今日はピーカンだねえ!」
「いやいや、どピーカンだよ!」    

今どき誰も言わないような死語を連発しながら、早朝の鈴鹿スカイラインを快走。やがて脇道にそれ、猪足谷林道の封鎖地点に到着です。

以前宮指路岳に登った時と同じ、学園闘争バリケードから登山開始。ここから水沢峠までの道も、宮指路岳の時と同じです。すっかり余裕のしじみたちは、道の不明確な箇所に方向指示のテープを貼ったりして、「道標テープを貼るなんて、ひょっとして俺たち上級ハイカー?」などとベテランぶっていました。後ですさまじい悪路に迷い込むハメになるとも知らず・・。

水沢峠を経て、急登をひと登りすれば宮越山です(「水沢岳」ともいうらしいです)。そして、ここから鎌ヶ岳までが、いわゆる「鎌尾根」。鎌ヶ岳から続く尾根だから「鎌尾根」なんですが、どうもこの名称、北アルプスのパクリくさいなあ・・。

まあ名前の由来はともかく(^-^;)、この一帯はとても眺めの良い尾根道です。岩場がちで慎重に登らないといけませんが、前半は三重側、後半は滋賀側の平野部を一望できます。また意外に広葉樹も多く、春は新緑、秋は紅葉が楽しめる道でもあります。

途中、名前は分かりませんが、白い花が咲き乱れていました。白い花といえばすぐさまケシを連想するしじみはミステリの読み過ぎでしょうか。「耳かき一杯1万円」とか言ってMの失笑をかってました。
※もちろんどっからどうみても上の写真の植物はケシではありません。念のため(^-^;)

ショートカットの分岐を越え、途中で昼食をとってさらに進みます。このあたりから正面に見えだす鎌ヶ岳の勇姿は圧巻。でも山肌がざっくりえぐれた姿は何だか痛々しくもあります。どうしてこんなに崩落してしまったのでしょう。

「きっとふもとからカメハメ波を撃ったんだよ」
「いやギャリック砲かも」

ものすごく頭の悪い会話をしているうちに、分岐を見逃して雲母峰方面に入り込んでしまいました(^-^;)すぐ気がついて復帰しましたが、危ないところでした・・。

そしてついに、鎌ヶ岳頂上に到着。でも目標達成の喜びもつかの間、時計は既に2時を回っていたので、一休みしてすぐに出発です。

帰りは同じ道も何だから、地図にある鎌尾根の途中のショートカットを使おうと決めていました。
ところが件の分岐に着いてみると、ショートカットの入口に「危険!入るな!」の標識が立てられています。何やら行ってはヤバそうな雰囲気です。

「・・どうする?」
「まあパンピーには危険かもしれんが、俺たちってほら上級ハイカーですから」

ついさっき鎌ヶ岳への分岐を見逃したくせに上級ハイカーもないもんですが、しじみたちは「危険上等」とか息巻いてショートカットに入ってしまいました。

最初は危険でも何でもない尾根道。しかし小ピークを2つ越えたあたりで、いつの間にか道が消えてしまいました。「そのうち見つかるだろう」と楽観していましたが、ところがどっこいそれ以後はぐちゃぐちゃの崩落地があるばかり。わずかな木の根に乗って落差3mの崖の側面を進むという、パズー少年ばりのアクションを見せつつジリジリと西へ進みました(もちろん半泣きで)。

崖が終わったかと思えば、今度はものすごくガレた涸れ谷。こぶし大から人の頭ほどの石が急斜面にどっさり貯まっており、一番上から石を5個ほど転がせば、たちまち岩津波を起こして一個小隊の軍勢を軽く全滅させられそうな案配です。ここは梁山泊の要塞か・・。

用心して進んだんですが、ほどなくしじみの起こした落石が、先を進むMの足に2個被弾(ゴメン・・)。Mは寛大にも笑って許してくれましたが、さすがにそれ以上危険を重ねるわけにはいかないので、Mが安全な所に避難して合図するまでしじみは動かない・・という作戦をとって、普段の2倍以上の時間をかけながら何とか谷下りを完了しました。

この時は幸いGPSで現在位置が分かっており、地図によれば谷底から南側の平坦な針葉樹林帯を600〜700mほど突っ切れば林道に出られるはずなので、Mと短い協議の結果それを決行。暗い林の中をコンパスを頼りに進み、木々の間から林道が見えた時には心底ほっとしました。
車に着いた時はもう日も落ちて薄暗く、我々はまた8時間以上登山をやっちまったことを反省しながら家路につきました。

・・まあ弁解させていただくと(^-^;)、「平坦な場所を狙って針葉樹林帯を突っ切り林道復帰」という方法は実はショートカットを帰路に選んだ時から考えていて、「万一の事態になったらそうしよう」とは往路の時点でも言ってたのですが・・万一の事態ってけっこう高い確率ですね。
安全な避難方法をあらかじめ考えていたのだから、まるっきりの遭難ではないけれど、想像以上の悪路に翻弄されて日が暮れる寸前までいったから、やっぱり準遭難ぐらいか・・精進いたします。

そんな見苦しい自己弁護はさておくとして、とにかくこのショートカットは悪路ですから絶対行かないこと!最初の方で甘い顔(楽な道)をしておいて、時間的に引き返せなくなった時点で道がなくなるというトリッキーさはまさに悪魔的!「危険!入るな!」

・・これだけ言ってるのに、まだ行くバカなヤツがいるんだよなあ・・ (無限循環)


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