荒島岳・後編


翌朝。まだ暗いうちに起き出したしじみは、Pさんがなかなか起きてこないので、フスマ越しに「♪朝だ朝だ〜よ〜浅漬けのもと〜」と定番(?)の目覚ましソングを歌ってあげました。

「♪刻んで漬けて〜もむだけで〜すぐ食「うるさい」

マジで怒られてしまいました。Pさん朝は弱いようです。

毎度ながら早朝出発で、Pさんとしじみは寝ている人々を起こさないよう、そ〜っと忍び足で旅立ちました。そして今回もまた宿の朝食にありつけなかったため、途中でコンビニに寄って車中で朝ごはんタイムにしました。

しじみはパンやヨーグルトをモソモソ食べていましたが、となりでPさんはカルボナーラスパゲッティとかいう油っこいものをズルズル食べていました。寝起きは悪くても胃は強いようです。

蕨生という集落から林道に入り、1.5kmぐらい進んだところで駐車。いよいよ登山開始です。熊よけ鈴は宿に返してきたので、しじみは鈴のかわりにカラビナにマグカップを2個つけて、腰に下げてみました。

ところがこれが全然鳴りません。うーむ困った。しばらく手でガチャガチャ鳴らしていましたが、面倒くさいことこの上ない。笛を吹くことも考えましたが、遭難者だと思われたらたいへんなのでやめました。ひたすら手で、ガチャガチャ、ガチャガチャ。あーめんどくさー。(このことが、後にコレを買うきっかけになりました)

そんなことをやっているうちに、荒島岳名物のブナの森の中へ。もうすっかり落葉しているものの、苔むした白い樹肌が林立する様はとても幻想的で美しいです。毎度ながら写真を取り忘れているので、荒島岳On-Line様でご覧ください・・。(相変わらず他サイトにおんぶにだっこ)

ブナ林を眺めながら小休止していた時。
Pさんがたいへんなことに気づきました。

「あーっ!お水忘れた!

・・なんでも、容器はあるけど、宿で水をくむのを忘れていたとか。それは困った・・。しばらく考えて、しじみがちょっと多めに持ってきてるから、それを分けあえば何とかもつだろうという結論に達し、結局このまま進むことにしました。Pさんちょっと落ち込み気味です。

それからしばらく歩いて、荒島岳の従峰「小荒島岳(こあらしまだけ)」に到着。
何のヒネリもないネーミングがステキです。


小荒島岳山頂。眺望のよい小広場です。

実はここで、しじみはマル秘プロジェクトを用意していました。
その名も「小荒島岳で『コアラのマーチ』を食べるぞ大作戦」!!
お前のほうがヒネリがないとか言わないでください。

しかしこのマル秘プロジェクト、水を忘れたショックでPさんがかなり凹んでいたため、結局実行せず、ひそかにボツになりました。
(「これから『コアラのマーチ』食べるから写真とってー」なんてしょーもないことはとても言える状況じゃなかった・・。読者の皆様、もし小荒島岳に登ることがありましたら、しじみにかわってぜひこのプロジェクトを完遂してください!)

ここからしばらく平坦な道ですが、小ピーク「シャクナゲ平」を過ぎると、いわゆる「胸突き八丁」。ラストスパートの急登となります。時々クサリ場もあってなかなかハードです。勝原コースから来たハイカーたちと抜きつ抜かれつをくり返しながら、ついに荒島岳1524mの頂上ににたどり着きました。

広い頂上の片隅に陣どって昼食。風がびゅうびゅう吹いてかなり冷えます。お湯を沸かして熱い紅茶を飲み、Pさんも少し元気を取り戻しました。実はPさんにナイショでインスタントみそ汁も買い込んでいたんですが、もう水がなくて作れないのでそのままナイショにしておきました。やっぱりオレってジェントルマン。なお、このみそ汁は2005年5月現在、まだしじみの登山道具箱に入っています。もはや記念品です。

昼食後、360度の絶景を心ゆくまで楽しみました。この山頂は本当に眺望が最高です。概念図さながらの尾根がカッコイイ〜。


山頂より南の稜線を望む
(右隅に写っちゃったおじさんが何をしているかは気にしないでください

景色をたっぷり堪能した後、勝原コースで下山開始。このコースは北の勝原スキー場へ下る、往路とは別のコースなんですが、これがけっこう急勾配でした。もしこっちから登ってたら、またしじみさんバテてたかもしれません。

木漏れ日が心地よいブナ林の中をずんずん下って、2回ほどコケてPさんの失笑をかったところでふもとのスキー場に出ました。ロッジはオフシーズンで閉まっていましたが、公衆トイレや自販機があり、一息つけました。

この後、本当は勝原駅から電車に乗りたかったんですが、結局発車時間に間に合わず、やむなくタクシーを呼ぶことにしました。我々のようなバカハイカーが時々いるのか、電話をするとタクシーはすぐにやってきてくれました。

やれやれと乗り込むしじみたち。 山里をのんびり走るタクシー・・と思いきや。
オイオイ運転手さん!なんでそんなにトバすのー!山道で70キロ超とかやめてー!それとF1じゃないんだからアウトインアウトとかしなくていいの!あとどうでもいいけどシートベルトしろー!!

何が気に入らないのかムスッとしている運転手さん。スリル満点の運転で寿命を3年ほど縮められたしじみたちは、とにかく無事に蕨生集落に到着。
とっても怖かったよ大野タクシーさんよ。

林道をテクテク歩いて車を回収しました。2日間の福井旅行も、あとはもう帰るだけです。帰りも名神高速をひた走りながら、先ほどの暴走運ちゃんについてあれやこれや話しました。

「タクシーがあんな走り方しちゃイカンよね」
「うん、でも運転テクは確かだったよね。さすがプロ」
「テクがあれば何やってもいいってもんじゃ・・うわわー!!

話に熱中して、もうすこしで前の車に激突するところでした。
暴走運ちゃん、あなたを批判する資格はボクにはありません・・。



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