広口魔法瓶(サーモス)
=RISE(キャプテンスタッグ)=     vol.1


広口魔法瓶。これは日帰り登山の昼食に革命をもたらす大発見でした。これさえあればシチュー・スープ・おしるこなどの温かい汁物が山の食卓(?)を飾り、カレーや牛丼などの丼ものさえも、実調理時間10分ほどでできてしまいます。しかも、レトルトやインスタントではない家庭の味を、山に居ながらにして楽しむことができます。

こいつの発見までには、一つの熱く切ないストーリーがありました。以下、しじみの挑戦の記録をお読みください。BGMは「地上の星」で・・。

日帰り登山の昼食といえば、昔はだいたいコンビニおにぎりか菓子パンでした。携帯コンロで紅茶などを沸かすから少しは人間らしい食事になりますが、張り込み中の刑事のようなわびしさは否めません。

とはいえ、山の昼食とはそんなもんだとずっと思っていました。キャンプの夕食のように水場があり、調理スペースがあり、時間もたっぷりかけられるなら話は別ですが、水は自前、調理時間は長くても20分、しかも食べ終わってまた登るとくれば、あまり面倒なことはしていられないわけです。それにそもそもメンツが野郎ばっかりだったから、食事は単に登山を続行するためのカロリー摂取でしかありませんでした。エサというか、燃料というか。
 
ところが、社会人になり、女友達Pさんと山に登るようになって、山の昼食は変わりました。女の子相手にコンビニおにぎりではあまりに芸がない。しばらくは伝家の宝刀であるホットサンドで好評を得てしのいでいましたが、あるとき彼女がこう言いました。

「山っていえばやっぱりカレーよね」

なに?カレーだと?ムリむり無理!そんな軟派な料理はオートキャンプでしかできません!
そんなのお父さんは許しませんよ!!<誰だ

確かに山=カレーの図式は一般的に根強いです。小学校のキャンプなんかで作るからでしょう。でもあれもまた、水も燃料も時間もたっぷりあってできるもの。日帰り登山の昼食で作れるものではありません。もちろんPさんも言ってみただけで、できないことは承知の上。「無理やっちゅうねん(関西弁)」ですむ話でした。

しかし。しじみの中で何かがはじけました。

これはしじみへの挑戦だ。やってやろうじゃないか!次回の昼食はカレーだ!
そうかたく誓ったのでした。心の中で。(約束するには自信がなかったの・・<小心者)


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