広口魔法瓶(サーモス)
=RISE(キャプテンスタッグ)=     vol.2


テーマはカレーライス。燃料・火器・水・食材といった必要物資は合計5kgまで。調理制限時間20分。料理の鉄人もびっくりの厳しい条件です。

まず考えたのはレトルト。「サ○ウのごはん」と「ボ○カレー」を一緒に熱湯で温めればカレーライスは完成します。でもレトルトだらけじゃあまりにもわびしい。負けた気がする。しかも「サ○ウのごはん」は熱湯で14分と意外に面倒。なのでレトルトは却下。

次に考えたのは、ランチジャーを使うこと。これが実は最有力でしたが、デパートやホームセンターで探してみて、どうも良い物がありませんでした。考えてみれば当然ですが、どれも一人分の容量しかないのです。しかもお上品な一人分。俺たちはもっとがっつり食いたいのだ!

さらに、どのランチジャーもご飯・汁・おかずと3つの容器に分かれています。おかずって何だ!山で定食なんぞ食べたくない!カレールーとごはんが二人分たっぷり入るランチジャーを出せ!!

 ・・とアツくなってもそんな市場経済に乗らない奇特な商品があるはずもなく、ホームセンターを1時間ほどうろついて、すごすごと帰りかけた、その時。

ふと思いつきました。小さい魔法瓶にルーを詰めたら。で、ランチジャーにはご飯だけ詰めたら。水筒売り場に行くと、果たして、ありました。直径5cmの氷が通るという広口の小型魔法瓶が。キャプテンスタッグという全く聞いたことのないブランドの製品でした。タ○ガーにも似た製品がありましたが、こちらのほうが若干広口。即買いしました。でもランチジャーはまだ買いませんでした。この魔法瓶作戦が失敗したら無駄になるから。そこらへんはわりとセコいです。

週末、早速カレーを炊いて魔法瓶に詰めてみました。まず熱湯で容器を温めておき、湯を捨てて間髪をいれずカレーを詰め、フタを閉めて置くこと6時間。開ける。湯気が立つ。十分に温かい。合格!!

次はご飯です。当初のランチジャーは結局見送りました。地元の登山具店で面白い商品を見つけたからです。それは尾西食品のα米。「湯でもどせる米飯」α米の存在は前から知っていましたが、もどす時間がかかるのが欠点で、これまで使ったことがありませんでした。
ところがこの尾西食品のα米はアルミパックに入っていて、湯を注いでからチャックを閉めれば持ち運びができます。すなわち、昼食の前の休憩で湯を沸かして仕込み、そのまま持ち歩いていれば、30分後には温かいご飯ができるわけです。これなら実質的な調理時間は、湯を沸かす5分程度だけ。これはなかなか便利です。

食後にお茶を沸かすから、どのみちガスストーブは持っていきます。ならばこちらの方がランチジャーにご飯をつめるよりも重量が軽くなるというわけです。というわけでご飯はこのα米を採用。

これで準備は整いました。そして決行の日が到来。しじみ家特製の具が大きい(当家比)カレーを詰め、出発。山は朽木村の蛇谷ヶ峰。休憩中にガスストーブを出し湯を沸かし始めたしじみを、けげんそうに見るPさん。カレーを作ると宣言し、α米を取り出して湯を注ぎます。チャックを閉め、彼女が持つというので持ってもらいます。

そして山頂へ。α米をコッヘルにうつし、魔法瓶を開けカレールーを注ぎます。

できた!できたぞ!調理時間も、重量制限も全てクリアし、今この山頂で一皿のカレーが完成した!レトルトじゃないぞ!野菜も肉もごろごろ入った、一晩寝かせたカレーだぞ!

一口食べる。うーまーいーぞぉー(叫)。

しじみは味皇ばりのオーバーアクションで、この偉業を激しく自賛したのでした。

さあ、これでPさんが俺を見る目も少しは・・・。


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